2010-12-21

教育デザインフォーラム

 横浜国立大学大学院教育学研究科で開催された「第4回教育デザインフォーラム」に参加した。同研究科改組の経緯と、具体的にどのような教育と研究を行おうとしているのか、核となっている『教育デザイン』および『教育インターン』に関する研究報告と質疑応答が行われた。
1. 全体像 小野康男先生
2. 教育デザイン 三宅晶子先生
3. 教育インターン 有元典文先生
4. 評価 小川昌文先生
 フォーラムから読みとったことは、「理論的な研究を実践の場に還元すること」、そして「現場での実践を研究に結びつけること」を両輪として教育・研究にとりくむという、強いメッセージだ。

 小・中・高の教育現場は毎日の雑多なことに追われているが、それは大学でも同じこと。教材開発や科目開発は教員にとって最も重要な仕事で、「授業をデザインする」、「教育をデザインする」という視点から、大学等の研究機関と連携することはお互いに有益なことだと思う。

2010-12-17

「総合的な学習の時間」成果発表会

 横浜国立大学教育文化ホールで標記発表会が開催され、6校から11本の発表が行われた。以下、発表題を紹介する。
 1 「自分が目指す職業への探求〜職業選択の鍵〜」
 2 「熱海再生 思いやりのある宿づくり〜Hospitarity〜」
 3 「危険な食べもの」
 4 「中国と日本〜両国の違いから見えるもの〜」
 5 「花毛布の歴史と継承」…本校
 6 「世界と日本の国家戦略〜ローマ帝国と江戸幕府に学ぶ〜」
 7 「時計反応〜反応速度に関する研究〜」
 8 「コンクリート強度と加水率の関係を探る」
 9 「"透明魚"を作る〜透明骨格標本づくり実践・研究結果まとめ〜」…本校
 10 「数列の利用〜バーコードに隠された秘密とは〜」
 11 「世界のおかし」






 本校からは、10月の海洋祭の中間発表のときに内容の充実していた2チーム4名が参加した。
 午前中は文系と理系の2会場に別れて予選発表を行った。
 発表内容について事前の査読と指導をしていただいた横浜国立大学の先生方により、1、5、8、9番の研究が選ばれ、午後はこの4本で本選発表を行った。
 本選発表後は生徒と引率教員による投票が行われ、その集計の間に、講評と講演「横浜国立大学高大連携の取り組みについて」が行われた。
 開票の結果は次の通りだった。
 最優秀賞 「コンクリート強度」
 優秀賞 「自分が目指す職業への探求」
 アイデア賞 「透明魚」…本校
 プレゼン賞 「花毛布」…本校

 どの研究も、「調べたい」「作りたい」などの自ら研究したいという動機によって行われたものだった。
 特に、最優秀賞を受賞した研究は、校舎の耐震工事中の現場見学の際にコンクリート強度に興味を持ったことが研究の端緒で、市販のセメントで加水率を変えた試験片を作って破壊検査をするという、工学部生が卒論でやるような徹底振りだった。
 本校の発表内容は学校の特色がよく出ていた上に、作製した標本の実物提示や、花毛布を折る実演を織り交ぜて発表したこと、透明魚標本の博物的価値、花毛布の文化史的価値などが認められた。
 学習の場を、教室の外へ、教員の視野を超えた所へ広げると、高校生は意外な力を発揮するものだと感じた。
 発表の場の提供にとどまらず、発表資料の事前査読と指導までしていただいた横浜国立大学に感謝したい。

2010-12-12

古野光昭カルテット

 横浜、野毛のDolphyにジャズライブを聴きに行った。このところ連続でライブに来ている。
 今日のメンバーは、古野光昭(b)、市原康(ds)、石井彰(pf)、太田剣(as/ss)のカルテット。古野さんと市原さんは、もう10年以上ライブに通っているのでお馴染みだが、太田剣という人はライブハウスでは初めてだ。



 しかし、このサキソホン奏者には特別な思い出があって、今日はどうしても聴きに来たかった。
 10年前の3月に、当時82歳だった父が松江の病院で手術をするので、横浜から「サンライズ出雲」という夜行で手術の立ち会いと見舞いに行った。
 横浜駅で列車を待つ時間つぶしに高島屋の前に来たら、ジャズのストリートライブをしている人がいる。そこでサキソホンを演奏していたのが太田剣だった。あとのメンバーはスネアドラムとシンバルだけのドラマー、それにギターとベースだったように思うが、なぜか彼の名前だけを覚えていた。
 それから1〜2年後、当時よく通っていたライブハウスの案内に彼の名を見るようになった。都内の店のジャムセッションでプロの目にとまり、ストリートのアマチュアからプロデビューしたということだった。彼の演奏を聴いたのはあの日以来だ。



 それで、父の手術だが、順調に進んで無事退院し、その後4年半を健康にすごして天寿を全うした。父とジャズはなんの関係もないけれど、私には父の手術とあの日のストリートライブとがセットになって記憶されていて、父母在りし日の大切な思い出になっている。

2010-12-11

関東大学ラグビー 法政vs山梨学院

 熊谷スポーツ文化公園に、関東大学ラグビーリーグ戦1部2部入替戦、法政大学と山梨学院大学の試合を撮影しに行った。
 普段は敵陣ゴール側でカメラを構えて法政の攻撃をねらうのだが、今日の前半は自陣側から法政のスクラムハーフのボールさばきとラインアウトの空中戦を撮影した。
 試合は法政31対12山梨学院で法政が勝ち、1部にとどまった。4年生にとっては大学ラグビー最終戦、たくさんの想い出をピッチに残したことだろう。






2010-12-08

ジムニー修理完了

 先週のことだけれど,12月4日にジムニーの修理が完了した。
 異常な振動が出て出力が上がらなかった原因は,点火プラグ不良による不着火だった。はじめに自分で推測した原因とほぼ一致していたが,今回の故障でガソリンエンジンに対する自分の知識がかなり古風であることがわかって少々恥ずかしい思いをしている。
 ガソリンエンジンの点火系統は,これまでの自分の知識では,イグニッショントランス → ディストリビュータ → 各シリンダの点火プラグ となっていて,ディストリビュータはエンジンの回転を利用した機械的な装置というものだった。
 しかし,今では軽自動車でもそのような装置ではなくて,各シリンダごとにイグニッショントランスを持ち,そのトランスに点火プラグを直接取り付けてある。そのため,イグニッショントランスから点火プラグまでのコードもない。
 内燃機関の原理的なことは大体わかっていたつもりなのだが,特に自動車は各社が軽量・高出力・低燃費・低環境負荷の技術開発競争になっているので,古典的な知識では追いつかない。知っているつもりで毎日車を運転していたけれど,知らない事だらけだった。うわべだけの知識しか持っていなかったことを,思い知らされた。

2010-12-05

JAZZライブ

 横須賀の三笠公園近くにあるレストランCabinの開店40周年記念ライブに行った。本日のメンバーは大友義雄(as)、吉岡秀晃(p)、古野光昭(b)、藤井学(d)のカルテット。古野さんが来るなら聞き逃すわけには行かない。

 1回目のステージ
 Like Someone In Love
 I Remember You
 曲名わかりません(バラード)
 Triste(ボサノバの曲)
 曲名わかりません

 2回目のステージ
 曲名わかりません(ブルース)
 Night And Day
 曲名わかりません(バラード)
 黒いオルフェ(古野さんをフィーチャーして,アルコ奏法)
 曲名わかりません(アドリブにセントトーマスが入っていた)
 曲名わかりません

2010-12-04

関東大学ラグビージュニアリーグ入れ替え戦

 関東学院大学釜利谷グランド(横浜市金沢区)に、法政vs関東学院大学の試合を撮影しに行った。
 両大学Cチーム同士の試合は12時キックオフ、結果は試合終了間際に法政がゴールポスト横にトライを決め、コンバージョンゴールも入れて逆転勝利。
 14時からは、ジュニアリーグ(*)のカテゴリーⅠとカテゴリーⅡの入れ替え戦だった。拮抗した試合はこびで両チーム譲らず、21-21のままの終了間際、関東学院がペナルティゴールを決めてノーサイドとなった。この結果、法政はカテゴリ-Ⅰへ復帰することはできなかった。









(*) ジュニアリーグは各大学のBチームで戦う公式のリーグ戦で、関東大学ラグビーリーグ戦グループと対抗戦グループが混在して6チームずつカテゴリーⅠからカテゴリーⅢまで編成されている。
 

2010-11-30

旧陸軍省と海軍省最後の日

 昭和20年11月30日をもって旧陸軍省と海軍省はなくなり,翌12月1日よりそれぞれ第一復員省と第二復員省に改組された。
 父は私よりも大きな体躯で柔道も強かったが,19歳のときに肋膜炎を患った影響で徴兵検査は「丙種合格」だった(「丙種でも合格と言っていた」と父は書き残している)。そのため徴兵されず民間会社で技術職に就いていたところ,海軍の施設部に軍属として徴用され,そのあと結局は武官転換して軍籍に入っていた。

 父の日記から。
 『昭和20年11月30日。佐世保海軍施設部退任、予備役編入。佐鎮。8月16日以降復員業務に従事、○○部長大佐以下の僅かな人数になる。最盛期には数千人が日毎に復員あるいは職場放棄して行ったが米軍進駐後は施設引渡しを行ない帝国海軍が12月1日から第二復員局に改組され復員。11月30日○○技師と嬉野温泉に一泊,帰国する。
 疲労こんぱいして12月に帰国。米軍から鎮守府の防空指揮所地下ごうの説明を求められ佐世保往復する。此の時施設部残党は福岡県筑紫郡二日市町812、運輸省門司地方建設部に改組されて居り打ち合わせに立ち寄る。』
 『当時カイセンにて母のヌカ油の治療を毎日行ひ、父兄と木炭製造などしていたが』昭和21年3月、戦前に勤務していた会社に復職した。
 (郷里に帰省することを父はしばしば「帰国」と表現する。)

 戦争を体験し、きょうだいを亡くし、戦時中から戦後の動乱期を通じて食料や衣服など毎日の生活に窮乏しながら日本の復興を支えた、大正から昭和1桁生まれの父・母の世代に対して感謝し、敬意を払うべきだと強く思う。

2010-11-29

古野光昭カルテット

 友人と横浜DolphyへJazzライブを聴きに行った。本日の出演は、古野光昭(b)、川嶋哲郎(ts/ss)、市川秀男(p)、小山太郎(ds)のカルテット。

 1st Stage
  Like Someone in Love
  曲名わかりません
  ピアノとソプラノサックスのデュオ,曲名わかりません。
  カバティーナ(映画 ディアハンターのテーマ)コントラバスとピアノのデュオ
  ブルース

 2nd Stage
  Beatrice
  デザートウィンド(市川秀男オリジナル)
  曲名わかりません。
  曲名わかりません(コントラバスのアルコ奏法とフルート)
  ブルース(bugs groveだったか?)
  Somewhere Over the Rainbow
  アンコールはチャップリンのスマイル








2010-11-28

関東大学ラグビーリーグ戦 法政vs流通経済大

 熊谷スポーツ文化公園で関東大学ラグビーリーグ戦の法政大学vs流通経済大学戦があった。勝てば大学戦主権の出場権が得られる大切な試合だった。









 前半は流通経済大学にトライさせず,11-0で折り返したが,後半は4トライを許して法政14対20流経となった。1トライ1コンバージョンゴールで逆転可能だったが,ゴール前必死の攻防も及ばず,惜敗だった。

2010-11-27

減筒運転

 10年間乗ってきたジムニーのエンジンが不調になった。アイドリングで振動が出る,上り坂で出力が上がらない,燃料消費が急増するなどの症状から,3シリンダのうち1シリンダが着火していないのではないかと考えた。走行距離は16万キロ,この間にクラッチ板や発電機のベアリングを換えるなど,何箇所かの部品交換をしてきたが,このような状態は初めてだった。




 修理工場へ持ち込んだら,予想通り1シリンダ不着火とのこと。問題はその原因だ。
1. 点火プラグの電極に燃焼生成物(炭素)が付着して火花が飛ばない。
2. 点火プラグのコード不良。
3. ディストリビュータの当該シリンダ部分だけ接触不良。
4. ピストンリング損耗。
5. 吸排気弁損耗。
6. 吸排気弁ガイド損耗。
 といったところか?電気系統ならば費用もそれほどかからないだろうが,シリンダ内の不具合ならば大きな工事になるので費用も嵩む。

 海技従事者国家試験に「ディーゼル主機関を減筒運転する方法と注意事項」「蒸気タービン主機を高圧タービンのみ,あるいは低圧タービンのみで運転する方法と注意事項」などが出題されるので勉強したことはあるし,取扱説明書にもその方法が記載されていたが,機関士として乗船していたときには幸いにもそのような状況になったことは一度もなかった。

 陸上で,しかも自分の握り拳も入らないようなエンジンを減筒運転することになろうとは思ってもみなかった。船に乗っていたときは職務なのでエンジンの取り扱いには細心の注意を払ってきたが,毎日の足として使っている車のエンジンには無頓着だった。自分のことをエンジニアと思っていたが,恥じ入るばかりだ。

2010-11-12

データのバラツキを調べる

 出航式などで使う5色紙テープを目分量で10センチに切り出し、実測値にどれくらいのバラツキが出るかを表計算ソフトウェアで調べる授業を行った。この授業は,三宅なほみ先生(東京大学大学発教育支援コンソーシアム推進機構)の報告書 "Miyake, N.,& Shirouzu, H. (2005, June). Design and use of smart tasks in collaborative classrooms. Poster session presented at the meeting of the Computer Supported Collaborative Learning, Taipei, Taiwan."を参考にさせていただいた。
以下、授業の計画と結果。

【1時限目】
(1) 準備
鋏、10cm見本紙片、五色テープ、データ記録用紙(人数分)

(2) 出欠確認後、4人一組のグループを作り、机を向かいあわせて着席させる。
(3) 導入
① 「目分量で10㎝はどれくらいか?」という趣旨の発問をして、親指と人差指で10㎝の幅を示させる。
② 「人によって目分量には差があるので、実際にどれくらいの差があるかを確かめます。」

(4) 展開
-1- 目分量の10㎝は?
① 10㎝の見本紙片を配る。「10㎝を記憶してください」
(紙などに印を描かないように注意する。)
② 五色テープと鋏を各班に配る。
③ 「各自、目分量でテープを10㎝に切り出して、テープに記名してください。切り出すのは5本です。」「始めに切ったテープを見本にして2本目を切ってはいけません。毎回目分量で切り出してください。」

-2- 五色テープの切り出しと計測
④ データ記録用紙を配布する。
⑤ データ記録用紙に印刷してあるメジャーで、切り出した紙テープの長さを計測する。
⑥ テープに長さを記録する。
⑦ 班内全員のデータを記録用紙に各自記録する。

-3- 最大値、最小値、平均値の概算
⑧ 記録用紙をざっと見て、最大値、最小値にマークする。
⑨ 平均値がどのくらいの長さか、概略値を予測する。
⑩ 各班で、最大値、最小値、平均値の概略値を発表させる。

【2時限目】
-4- 表計算ソフトにデータを入力する
① 各自、自分の班のデータを表計算ソフトウェアにまとめる。
② 最大値、最小値、平均値、データの個数を、表計算ソフトウェアの関数を用いて求める。

-5- 度数を調べる
① 最小値が7.2㎝、最大値が12.8㎝だとすれば7㎝から13㎝まで2ミリ刻みで「長さクラス」を作る。
② COUNTIF関数を使って、「7cm以上の度数ー7.2㎝以上の度数」を7センチのクラスの度数とする。以下13㎝クラスまで度数を勘定する。
③ 度数分布図を棒グラフで作成する。

1学年全員のデータ(710サンプル)が集まったので、来週の授業で生徒に還元するため度数分布図を作ったところ、きれいな正規分布図が得られた。





2010-11-03

龍王峡

 浅草から東武鉄道と野岩鉄道直通の快速電車で2時間半,龍王峡へ日帰り小旅行。龍王峡沿いを約2時間半歩いて,途中からバスで川治温泉へ。帰りは野岩鉄道と東武鉄道直通の浅草行き区間快速で約3時間。
 紅葉には少し早かったが,暑かった今年の夏が嘘のように寒いくらいの気候だった。







 龍王峡とは,歌人の斉藤茂吉の命名だったと初めて知った。

2010-10-31

大学ラグビー 法政vs関東学院

 1週間さかのぼっての更新。秩父宮ラグビー場,10月31日(日)14時キックオフ。法政vs関東学院は,前半3-27で,法政は苦戦を強いられたが,後半に入って5トライ5ゴールを決めて,結局38-27で法政の勝利。1昨年の後半ロスタイムでの逆転勝利を髣髴とさせるゲームだった。





2010-10-23

輪読会

 2週間さかのぼっての更新。10月23日土曜日は,午後から横浜国立大学のある研究室へ,『Memory in Mind and Culture』Pascal Boyer & James V. Wertsh,Cambridge University Press,2009 の輪読会に参加した。私の担当は第6章「集合的記憶の形成における反復想起の役割」というところ,28ページ分。英語を読むのが精一杯で,テキスト批評には程遠く,皆さんの足を引っ張ってしまった。しかし,内容はとても面白く,勉強になった。種々の記憶再現実験や,歴史認識の国民性の違いの由来,記憶の共有がどのように行われてゆくかなど。

 ① 教科書や記念日の祝典,記念碑や歴史的建造物を作るときの議論が集合的な記憶が形成される上でどのように影響するか。
 ② 実験認知心理学で行われる記憶を再現する種々の実験を集合的記憶形成を研究する上でどのように応用するか。
 ③ フラッシュバルブメモリ
 ④ 多肢選択式テストと短答式テスト
 ⑤ スキーマティックナラティブテンプレート(schematic narrative templats):図式的な物語ひな型
   (民族や県民などあるグループに広く受け入れられている歴史認識のひな型がいかに形成されるか)

 他の参加者の発表は短く要点がわかりやすくまとまっており,また,テキストに対する批評が行われていて,自分の読み方が足りないことを痛感した。

2010-10-16

海洋祭

 15日と16日の2日間にかけて海洋祭が開催された。各クラス,クラブの催しの他に,教科・科目の展示もあり,回を重ねるごとに内容も充実しつつある。
 今年は海洋科学高校に改編されて3年目,完成年度なので,3年次生の科目『課題研究』の中間発表を行った。個人研究とグループ研究全テーマに中間発表のポスター展示を義務付け,それらのうちから5グループがプレゼン発表と実演を行った。
  プレゼン発表を行ったのは次の5テーマ。
(1) 水撃激ポンプ
(2) 魚の骨格透明標本作製
(3) 漂着物調査およびアマモ移植
(4) 花毛布の歴史と伝承
(5) テルミン作製と実演

写真は骨格透明標本4点,花毛布,水撃ポンプ。





2010-10-10

大学ラグビー法政大学 vs 拓殖大学

 秩父宮ラグビー場で行われた関東大学ラグビーリーグ戦,法政大学対拓殖大学の試合を撮影した。昨日は一日中雨で今朝も曇り空で心配したが,朝のうちに雨が上がって,しかも直射日光がなかったので撮影しやすかった。試合結果は,36対26で法政の勝利だった。





納得研究会(2010年度第4回)

 今回の納得研究会は多摩動物公園で行われた。午前中「チンパンジーの生活」、午後「絶滅に瀕した動物たち」のガイデッドツアーに参加したあと、レクチャールームで、動物園で解説することについて解説員の方から直接に講演をしていただいた。












【並木さん】

(1) 動物園での教育
  50年位前 International Zoo Educator's Association
  40年位前 zoo教研(日本)
  水族館とは独立して始まったが、いまは一緒に活動している。

(2) 手法
  実物と二次資料
  人を介在(ガイド)
  パネル(指示、案内などのサインを含む)

  どうしたら創造的な教育ができるか、その理論的なことに興味を持っている。


【草野さん(多摩動物園解説員)】
(1) 日ごろ、ガイドをして工夫している点などについて
  キリンの色は?
  茶色、白、黒。剃ると色はなくなる。
  子供にキリンの絵を描かせるとほとんど黄色で描く。
  今見てきたばかりの子供に描かせても黄色で描く。そのこととの戦いである。網膜では見ていても脳に届いていない。そこで問いかけるのが一番わかりやすい。

  死んだあとの毛皮も教材になる。生きていたときの名前もついている。この動物園にこういう名前のキリンがいて、死んでもなお教材を提供してくれているということ。

  木のあるところにキリンはいる。
  木のあるところにキリンがいるところを白黒で見ると背景と渾然となって見分けつかない。←キリンに模様がある理由。

  キリンや象はみな知っていると思っているので先行するイメージで見てしまうから、目には入っていても観ていない。

(2) 動物園ガイド
  ---「動物」と「人」の間ーーー

 ① スポットガイド:一箇所でガイドする。
   これからガイドすることを動物にさせる。

  飼育係
  ↑↓
  動物・・・・・・・→客

  キリンは黄色と思い込んでいる客、そこに、ガイドが動物に働きかけて客に向かって動物を意識させる。

  飼育係 飼育係が動物に仕掛けて動物がいろいろする。                ↓↑
  解説員 → 客  ←・・・・・動物
  解説員は飼育係の意図を察知して解説する。


 動物・・・→ 客
        ↑↓ 双方向の会話
       ガイド役
 動物を操作することもなく、これから説明をしますなどのことはせず、場に応じて解説する。ガイド役と客が近い距離にいて、相手に合わせた話ができる。最も客思いのガイドではないかと思っている。

 客が
  やさしい温かいきもちになってもらえただろうか
  動物や自然に親しみを感じてくれたか
  動物や自然のことを理解してくれたか
  多摩動物公園を好きになってくれたかどうか

② 来園者に気付いてもらうガイド
  動物を操作しない
  トークを仕掛ける
  (これらは本日のスタイル)
  動物 ・・・・→ 客  ← 解説員

  一緒に観ながら歩く
  動物を操作しない
  ☆トークを仕掛ける

  スタイルは自由
  双方向の会話
 
  見入る、立ち止まるなどの活動ができる。
  そのときそのときで動物の状態は違う。客も違う。
  テーマを持ってやるが、そのとおりにはならない。

③ 動物の前に客を放り出す
  動物を操作しない
  トークをしない
  動物 ・・・・→ 客    解説員

  客が動物を見てなるほどと思う。解説員を意識しないで話を聞いてくれるのが理想。拍手された場合は、自分としては失敗と思っている。

④ 動物の前でガイドをしてもらう。(半年くらい通った人に)



いろいろな教材
 観察ツール、貸し出し教材(動機付け用:不思議発見ポケット、紙芝居セット、ビデオなど)、ガイドブック・その他のテキスト、貸し出し教材(理科:骨格標本など)


(3)いろいろな企画
  小規模な人数で行うプログラムが多い。(サマースクール、大人のための動物園)
 中には動物園の存在に疑問を持つ客もいる。
  人々は、動物園に何を求めてくるのだろう?
  動物園ガイドとは、動物を一緒に見ながら出会いを作る。

*****************************
貸し出し教材、子供に見せる、理屈を言ったとたんに子供は「僕知ってる」と始まって、ブツを見てくれない。何か?と思わせる。想像するところを奪わないように。見てくれればよい。さんざん子供に想像せた挙句に説明すればよい。

① キリンの舌
  木の葉を巻きつけて食べる。
② 動物の面:馬の面をかぶると人には横が見えない。しかし、馬の視界は180度。
前方が両目の視界若干重なっている分、後ろにわずかな死角がある。それで、真後ろに立つと蹴られる。
チーターは前方に視界がある。前方の獲物を探す。

 この貸し出し教材:子供に渡すときに言わないこと、見せたあとで言うことなどの注意書きがある。しかし、NHKの「試してガッテン」で取り上げられたときに順番を無視して解説したので全く面白くなかった。ハテナと思うところを大切にしなければ面白い解説にはならない。

 ☆目からウロコの瞬間を作らなければならない。それでストンと納得できるようになる。
 はじめに理屈を言うと何も面白くない。見る興味がわかない。


③ キリンの糞(チョコボールと呼んでいる)
  シマウマの糞(おはぎと呼んでいる)
  同じ食べ物を食べていても匂いが違う。動物園には自分のとどこか同じ匂いのがあるかもしれない。

④ アフリカ象のめすのウェストを現したロープ。(奈良の大仏の手のひらの授業と同じと思った。)

⑤ キリンの新生児の等身大写真。
  キリンは頭から、象は足から生まれる。キリンは生まれるときに肩が引っかかるので,頭から出ないと窒息する。
 生まれてすぐ立ち歩く。2-3日で元気よく歩き回り、1週間で走る。

質疑応答 ****************************************

① 今日のレクチャーの方法に行き着くまでにどのようなことがあったのでしょうか。
 →ここにあるのはすべて動物なので。自分もかつては教室で教えるタイプだったかもしれない。しかし、動物園には必ず動物がいる。動物と人が両方いるので。教室で話してもつまらない。つまらない話だと人はどこかへ立ち去ってしまう。教室ではつまらなくても生徒は教室にいなければならないが。動物園では動物が舞台に立っている。解説員が目立ってはいけない。動物第一、飼育係第二、自分は黒子。動物をよく見ていないと、たとえばヤギならば,この時間なら反芻しているかもしれないなどを考えながら仕掛ける。ねたを集めること。
 スタイルとか何を話そうと決めておいてもそのとおりになったことはない。そのような日々をすごしているうちに今のスタイルになった。

② 動物を触りたいという欲求が沸いた。そういうのは多いですか?動物とのコミュニケーションについて考えることはありますか?
 →多いです。その代償として皮の標本を出すなど、妥協点を探って提示できるようにしている。基本は野生動物に触れることはできない。
 →動物とは双方向ではない。動物たちは何か感じているかもしれないがそれはわからない。

③ 留学生に日本の伝統文化を教えたりしているが、たくさんの人を連れて案内をしているので、ガイドするということことに興味を感じた。疑問を持たせて腑に落ちるその部分に。大人数のときに、惹きつけて,対象物に興味を持ってもらい,学んでもらうための工夫は?
 →大人と子供では違う。大人は理屈を知りたがる。話自体に興味を持つ。子供はそうではなくて、ワァッと合点させること。難しいのは家族連れ。大人の興味と子供の興味が違うので難しい。大人数の時には、動物で対応する。小さい動物に対して大人数は難しいので象に連れて行くなど、大人数向きの動物のところに連れてゆく。あるいはクイズを持っていって、ポイントのところで集まってもらって後は自由にしてもらうなど。

⑤ 学校教育と社会の違い。先に理論とか結論を言わないということだったので、とても参考になった。義務教育も、話してつまらなかったら出て行ってよいことにすればよい(笑い)。
 →それはそのとおりだと思った。

⑥ こんなすばらしい体験ができるということに感動したが、何人くらいいらっしゃるのか?
  →今多摩動物公園は二人、解説員がいるのは東京都だけです。
 
⑦ 草野さん以外の人はポスドクの人のアルバイトのようでしたが。
  →毎年更新です。
  →本来の専門は微生物。小中高で教えた経験もない。動物園の教育の歴史は浅い。誰がなっても、永くいて積み重ねができれば可能。

⑧ 博物館の教育に興味があり、展示を中心にプロデュースする仕事をしている。草野さんの体の動かし方に注目した。見に来た人がすぐに帰ってしまってもかまわないという教育のあり方。自然に身についたことと思うが。自分に気付いているかどうか?学校の先生にそのような動作はあったか?教える内容などによって変わるのだと思うが。
 博物館教育に従事する人は人員的に余裕のない中で、ツールを作ったりいろいろ工夫をしてやっているが。教育ツール、自分たちの技を見せ合う企画をしているので是非ネタを持ってきてほしい。これは追加ながら。
  →体の動かし方については無自覚です。

  →→オープンエアであるし、動作を大きくしなければ、見てほしいところを見てくれない。
   ←←←引っ込むときには引っ込んでいる、指をさすときの動作。
   →それについては自覚している。子供たちが原稿を見て話さないように。

⑨ ひとつひとつの経験が蓄積されて経験になってゆく。本来の専門と違うこと、システムもなかったこと、それを今続けられているということについて。
  →予算だけがあって、こうしろああしろということは何もなかった。それが面白みであり醍醐味でもあった。面白ければ客は見る、つまらなければ立ち去る。そこがやめられないところ。
  →→今の質問者さんは現職看護士なので、患者が目の前にあってその患者をガイドする仕事だから。
  →どうしても人のよい点は真似したくなるが私は真似はしたくなかった。新しいスタイルを作ってゆくというのは面白い仕事と思った。

⑩ 学校に渡す教材のアイデアを思いつくきっかけは?
  →元ネタはサンディエゴズー。その教材キットの話を聞いて学校への貸し出しなら可能だと思って始めた。子供たちにとっては日ごろ身近にいる先生が話したほうが親しみやすいと思う。
 はじめはこのようなキットではなかった。耳をつけてよく聞こえるようなのもあった。徹底的にアンケートをつけて反応を見て改善してきた。それを繰り返していまのかたちになった。現場からのフィードバックが役に立った。

⑪ その教材がどれくらいウケタかは、直接に見えないので大変ではなかったか。
  →ひとりでは30人くらいにしか伝えられないが3人の先生に伝えれば100人に伝えられる。先生とのコミュニケーションを積み重ねて今のように成り立ってきた。最初から成り立ったわけではない。

⑫ 一番新しいのは?
  →尻たタコパンツかな?サルの尻のタコをつけたパンツ。これを穿けばお尻にパッドが当たるので痛くない。

⑬ (ここで私の感想)幾度か話が出たけれど、「面白くなければ客は立ち去る」というところ、私は高校の教員なので,毎日授業していると、どれだけ面白いと思って生徒が聞いてくれているか、寝る生徒もいればノート取らない生徒もいて、生徒が聴きたくなるような授業、人が立ち止まって聴きたくなるような授業ををしなければと思いました。
  →ガイドは聴きたくて来る人が対象だから。しかし学校はそうではない。

  ←←(A先生):「俺の授業,面白くなかったらみんな出て行ってもいいぞ!」といってから授業を始めては?(笑)
  →→(私):「そういう大見得を切って授業をやってみたいですけれど,なかなか恐くてできないですね」(笑)

⑭ 貸し出し用教材:「言ってはいけないことの注意書き」これはすごいと思った。どうして思いついたか。
  →自分にもそういう経験はあって、時間に追われたり親子連れとの関係でつい言ってしまったことからつまらない結果になってしまったりの経験から。
  →これ以上広まって貸し出し対象が多くなると対応できなくなってしまう。残念ながら、いまで上限かと思う。先生が作れそうなものならば可能だが。そういうものもある。

⑮ 子供にとって先生は成績をつける人なので、ある意味点数をつける怖い存在なので。そういう貸し出しキットのリストがあると他のところでも使えるリソースかと思う。
  →大人でも子供でも言いたがるようになる。終わってからそうなれば成功だと思う。

⑯ 言いたがる子供たち、言いたいことを交通整理しながら、全員にも言ってもらいたいし、どうやったらよい結果になるか。
  → 最近では、言いたがりを受け止めるのは先生、このような教材を使って先生がそれを受け止める。自分では限界がある。「見た」ということがどれだけすばらしいかということを体験してほしい。

⑰ 教材の使い方が絶妙。知らないことがわかるのはとてもわくわくする。子供にもそういう楽しい気持ちを味わってほしい。つい教えたくなるが、そこをあえて教えずに、子供たちに気付かせる。ひとは、「教えられる」とわかった瞬間に「考えないスイッチ」がはいってしまう。そのあたりが絶妙だと思った。教えすぎない、引いた立場、どこまで自分を出さずにできるかそのバランスが大事だなと思った。
 →ほめられすぎで居心地悪いなぁ。

⑱ 説明する人は前にいるという印象を持っていたが、今日は後ろで説明されていたということ、それから、何も聞こえない瞬間もある。そういうときに動物を見て自分で考えるということができた。

 どこに解説員がいるのかわからなくて不思議だった。後ろから人の興味をあおる、シナリオがない、物知りの親が子供に教えているような。

⑲ 動物の前に立つとクイズが出るようなシステムにお金がつきそうだが。
  ←是非やめたほうがよいですね。
  ←僕もやめたほうがよいですね。
  ←それは葛西で作ったことがある。行く前とか行った後ならよいかなと思った。帰ってきてからの復習として使うものならば非常に細かい解説ができるツールではある。

⑳ 解説について人に代わるものはないなと思う。美術作品をネタにしながらトークをするということ。目の前にある動物からスタートする。美術作品と違って動物は動くのでそれに対応して説明できるというのは人でなければできないことだと思う。

21 スタンプラリー、上野動物園、解説を全部聞くと答えがわかって次に進める。子供にとって楽しいこと。看板だけではいえないことがある。何か面白いアプローチがあるのではないかと考えた。

22 水族館だと、ガラスに映っている彼女ばかり見ているなどのことがある。そういう客もあれば、マニアックな客もある。あるいは解説の名前と実物が照合できれば満足な客もある。図鑑的に見る客もある。親はあるいはそれかもしれない。動物園はそういうものだということで終わってほしくないなという思いがある。

23 (高校生)
  学校の授業の中で象について調べている。人と動物のかかわりが不思議。動物園が絶滅しそうな動物について重要な役割だと伝えるのですか。
  →そういうこともあります。その客がそういう話に乗る人かどうかの判断。動物園に楽しみに来ている人に対して、ちょっと暗い話になるので。動物園も、その歴史の中で動物の絶滅に加担したこともある。客の反応によって、その話題を出すこともある。

24 (高校生)
  絶滅しそうな野生動物のことを調べている。この動物園で保護しているのがありますか?
  →小笠原しじみ(蝶)など、いくつかは保護と増殖につとめている。蝶と、朱鷺など。ニッポニアニッポン(鳥インフルエンザなどで、一箇所だと危ないので)、黒面平さぎという鳥。繁殖が上手くいっている。

25 (高校生)
 海のアマモのことを環境の面から調べている。今日見学してみて、自然界ならば熱帯雨林などいろいろなところがある。ここは、ひとつの環境にいろいろな地域の動物がいることが不思議に思った。
 →ここは丘陵地帯で斜面がある。崖を作ったり、両側から水の集まるところがあるのでそこに水辺の動物を配置したりなど、なるべくこの地域の特性を活用しようとはしている。しかし、柵の中ではある。この動物園の人は、そういう配慮はしているが、動物園であるということを前提としている。生態っぽい雰囲気にはしているけれど、動物園である。
26 動物に合った環境があるが、そういうことについては。環境に合った動物の活動を引き出すなどは?

27 (高校生)
 動物園の展示方法について調べている。チンパンジーのユーホーキャッチャーなどの工夫がある。ガイドさんがいることで客が楽しみを引き出せるということがあってよかった。

 →ここにいる動物は野生動物だが、状態としては家畜状態である。家畜は、人間の目的に合うように人間が品種改良してきた動物。この動物園にいるのはヤギ以外は野生動物だが(品種改良をしていない)、状態としては家畜である。展示である以上、家畜である。
28 教えない教育とはどういうことかに関心がある。解説員は知識を教えることではない。疑問、あるいは興味を誘引する仕事。しかし美術品とは違って答えはある。ところがその答えを言ってしまってはおしまい。知識というものが持つ面白さを伝え、わかりそうな疑問を持たせる。そういうところが難しい。知りたくなる、知りたくなってそれがわかる。自分から問いを持つそういうものを引き出すためのテクニック、それがどういうことで可能になるのかを考えさせられた。教えない教育ということのヒントを随分もらった。そういったことをまとめて、「面白がらせる」「知ることの価値に気付かせる」などのことを考えさせられた。今日のガイドや質問の出し方の中に答えがありそうだ。